ドクターズブログ

BOOCSの杖

 その方は、70歳代の、趣味が仕事という典型的な日本の父親で亭主関白でした。

 頸部の癌が見つかってからは、何度も再発と手術を繰り返し、数年後には気管切開まで受けて、遂に声も出せなくなりました。以下は、その方の筆談の記録です。

● 入院1か月目。「自殺用毒薬をくれ」「牢獄だ」「一日中何に向かって生きている」「24時間暗黒の中で生きられない」「仕事はやる気が全くないので断ってくれ」

● 入院2か月目。「苦しい」「息子と話がしたい」「早く出たい」「家に帰りたい」「毎日辛い」「どうしてここにいるのか」「仕事がしたい」

● 入院3か月目。「早く帰りたい」「散歩したい」「立ちたい」「好調です」「愉快」「ドライブしたい」「何年生きられるか」「長生きした」「うまくいってる」

● 入院4か月目。「買い物したい」「命を拾った」「息子も安心です」「安心してよい」「プラスなので安心です」「後継の件、もめるなよ」「きつい仕事はするな」「よろしく頼む」

 入院2-3か月目から、全身の症状は増悪しているにも関わらず、「絶望」的表現が消え「希望」を示す言葉が増えてきました。表情からも怒りが消えて笑顔が見られるようになり、散歩や外出も始められました。

 亡くなる最後の4か月目は、「希望」と共に、「平穏」「安心」を表現する言葉で埋められました。(私が10年前に担当した患者さんです)。

 苦痛はゆで卵に例えて、殻が社会的、白身が身体的、黄身が精神的、芯の部分が霊的苦痛(魂の苦痛)と言われます。医療者は、その全ての苦痛を軽くするお手伝いをしますが、それでも患者さんは、病気の初めは、迷い、苦しまれます。しかし、時間が経つにつれ、その多くの方々が、この方のように魂の苦痛から解き放たれていかれるのも紛れもない事実です。そして、まるでその方々の内側から不思議な力が湧いてくるとしか思えない程、谷(魂の苦痛)から山頂(希望)へと一挙に飛び立たれるのです。それも重い病気程、顕著な気がします。

脳疲労を解消し、脳を活性化するBOOCS法は、軽い病気でも、心の病においても、この谷間から頂上まで登る際の「杖」になるのではないかと思われます。皆様の身近で、そのお手伝いができるように、日々診療に従事しています。

BOOCSホリスティッククリニック東京
院長 市丸 みどり

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